はじめに

今から、4年以上前の2014年7月に保険収載されたAN64ST膜を用いた持続緩徐式血液濾過器であるセプザイリス。

その威力と効果とその他もろもろを多角的にみていきます。

セプザイリスとはなんなの?

保険適応と添付文書から

今までのCHDFでの保険適用では循環動態の不安定な急性腎不全や慢性腎不全患者が適応でしたが、このセプザイリスでは上記の適応プラス重症敗血症患者および敗血症性ショック患者にあたらに保険適用が認められている点でまったく異なる部類のCHDF膜と言えるでしょう。

さらに、今までのCHDF膜との違いを添付文書から端的にあげると

・メディエーターのクリアランスが今までの膜より高い

・クリアランスが高いというのは膜に吸着して除去している

・重症敗血症および敗血症ショック患者の予後が改善

と上記3つの特徴があります。

予後改善するという事では添付文書上ではこのように書かれています。↓

かいつまんで説明すると↓

アパッチスコアが平均で32.7というとてつもなく重症な敗血症患者が34人に対してセプザイリスを用いたCHDFをしまーす。

そしたら、予想の生存率が20.3%のところを大幅に生存率が伸びて28日生存率が73.5%という驚異的な結果になりましたよー。

しかもメディエーターもかなり低くなって血中濃度も下がりましたー。

っとまぁこんな感じです。やばいっすね。

これが本当なら、とてつもなく良い事ばかりの膜です。

 

AN69ST膜って?

セプザイリスに使用されているAN69ST膜というのはどのような膜素材のなのでしょうか?

じつは1969年に世界で初めての合成高分子膜として開発されたのが、AN69ST膜の前進のAN69膜になります。

そう、じつは昔からありました。

AN69膜は日本名にするとアクリロニトリルといって最後についている数字である69は1969年の69なんです。

現在でもAN69膜はH12ヘモダイアライザーという積層型ダイアライザーの分類の透析膜として販売されています。

AN69の特徴は合成高分子の中でも珍しいどこの部分も似たような構造になっている対称構造が特徴で、しかも膜の繊維が絡んでいるような構造になっています。

ほかの、例えばポリスルホン膜だと微細な穴が空いているのですが、AN69はどっちかと緻密な隙間が空いている膜といえます。

ですから、その間に大きなタンパクなどが挟まる、いわいる吸着する能力が高いのです。

 

それではAN69とAN69STはどう違うかというと血液と触れ合う膜の表面を改質しているか、そうでないかでSTがついたりつかなかったりします。

このSTはsurface treatmentの略で直訳で表面処理という意です。

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バクスターのホームページでは難しく説明していますが要は膜の表面をより親水化してハイドロゲル状にしていると言う事です。

ですので、プライミングにヘパリン入り生食でプライミングするのも、このハイドロゲルをヘパ生で作るという目的があります。

血液が接触する膜表面をヘパリン入り生食のゲル(プルプル)で覆う事で血液にストレスを与えないよう考えられた膜素材なんです。

 

セプザイリスって本当のとこどうなのか?

まず添付文書から読み取れること

まず、上記で添付文書の治験内容を説明しました。

その中で、34例中13例でAPACHE IIが36点以上というのは、ものすごい重症な症例群です。

 普通、よほどセレクトしない限りそんな重症例を集めるのは難しいし、絶対とは言いませんが、このスコアリングに問題があったのは可能性が捨てきれないと思います。

ようはこの治験の圧倒的な生存率の改善は信用できないと言う事です。

 

他の論文ではどう論じられているか?

そんな眉唾ものの、セプザイリスですが2018年11月現在の効果効能はどうでしょうか?

PUBMEDで調べてみます。

検索ワードは”CRRT”と”AN69ST”にしました。

結果はこちら

なっなっなんと発売されてからおよそ4年も経過していますが、たったの5件程度しかpubmedに上がっていません。

しかも、シビアな敗血症や敗血症性ショック患者に保険償還がついているセプザイリスですがなんだか、膜のライフタイムや抜けるメディエーターの事などバラバラで本当に知りたい敗血症や敗血症性ショック患者の予後にどう影響するかのRCTなありません。

かろうじて日本の保険請求からAN69STを使ったCRRTとそうでないものを比べた比較がありますが、詳細がないのでわかりませんが、結果だけ言うとAN69ST膜を使ったCRRTを行ったほうが死亡率が低かったようです。

2014年から2015年の間のICU患者2469人のうち156人がAN69STで治療を受けた。

死亡率はAN69ST群で50.0%に対して非AN69ST群での院内死亡率は54%であった。

オッズ比 0.65(95%CL 0.45-0.93)あと、AN69STはICU入院日数の短縮に関連していたそうでーす。

とまぁ肯定的な論文もありますが、数が少ないですね。

症例発表などではよく発表されていおり、どの発表も効果があったとするものばかりなのが印象です。

 

セプザイリスの効果に否定的な人たち

 

ここまで、きてなんですがこのセプザイリスを信用していない人は結構います。

ネットでセプザイリスと検索しただけでごっそりでてくるので一参考として少しご紹介します。

まずは- 東京慈恵会医科大学麻酔科学講座がネットに掲載している↓

セプザイリスを使わない理由 

です。

CRRTの本邦と外国との違いや高浄化量(high DoseのCRRT)のエビデンスの変遷など結構おもしろいです。

こういうRCTの結果からのエビデンスを認識していない医師や臨床工学技士が多いのでぜひ一読の価値あり。

 

あと、Dr中野のおすすめ文献紹介でもセプザイリスについて触れています。

内容は上記した内容とほぼ一致しております。

このブログの面白いのは追記まで読むことです、どんどんセプザイリスの信用度がなくなっていく様が書かれています。

 

まとめ

AN69STを使ったセプザイリスですが、今のところ重症敗血症患者および敗血症性ショック患者に使った場合、従来のCRRTと比べてのメリットは証明できていないと言っていいと思います。

ただ、症例発表では”効果”があったという発表も多い事も事実・・

これは大規模なRCTなどの論文が出る事を祈るしかありませんが、日本だけ盛り上がっているのであまり期待できないでしょう。

外国勢はsepsisに対するAN69STの効果を論じている人はほぼいないようで、どっちかというと膜のライフタイムを言う人はいるみたいですね。

この構図なんだか十数年前からのPMMA-CHDFになんだか似ています。

PMMA最強説が盛り上がましたがセプザイリスがでると、一気に発表者が減るというなんだか新製品こそがより良い、大学教授が言っているから効果があるに違いないというバイアス影響しているようでなりません。

やっぱり大きなものには巻かれる日本人の特徴なのでしょうか?

今後もセプザイリスの効果については随時アンテナをはっていきましょう。

 

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