医療で使われる酸素について
医療施設で、無くてはならないものの一つに酸素があります。
酸素は人間にとって必要なガスで、肺の悪い人や呼吸に問題がある人などがチューブや酸素マスクによって酸素を吸入します。
特に肺気腫やCOPDといわれる状態の人は常時酸素を吸入しないと苦しく日常生活を送れない場合があります。
そんな酸素ですが、病院では酸素配管をつかって供給されています。配管の接続口をアウトレットといいます。
中規模から大規模の病院では酸素の消費が多いので、液体酸素の状態でタンクに入れておいて、徐々に気化させて配管に供給します。これをCEシステム言ったりします。
これがCE↓
小規模な施設では大きなボンベに圧縮空気の状態で酸素を入れておいて酸素を供給します。これをマニホールドタイプなんて言ったりします。↓
さらに移動時には酸素が入った携帯用のボンベを利用して酸素を吸入するのです。
携帯用といっても病院で比較的ポピュラーな酸素ボンベは500L入りのボンベで結構重いんです。↓
重さはだいたい4〜5Kgはあります。
ボンベの酸素はなくなる
そんな便利な酸素ボンベですが、もちろん容量があって使い続けるととボンベが空になります。
今回はそんなボンベの残容量をどうやって確認するか?また、酸素ボンベの詳細について述べていきます。
酸素ボンベの容量について
医療施設で移動時に使用されているボンベのほとんどが500Lボンベになります。
総容量が500Lという意味で写真のような長細いボンベです。
実はこのボンベの内腔は3.4L程度の空気しか入らないのはご存知でしょうか?
酸素ボンベにかぎらず、ガスが封入されたボンベは高い圧力で気体を圧縮してボンベにいれているのです。
圧縮した空気を入れると容量が限られてた容器でもそれ以上の気体を入れる事ができます。
酸素ボンベの場合、大気圧が1だとすると、酸素ボンベには約147倍の圧力で酸素を圧縮して入れています。
だから3.4Lの容器で3.4×147≒499L そうです。500Lということです。
ですから、酸素ボンベは液体酸素が入っているわけではなく、圧縮した空気の状態の酸素が入っているわけです。
もっと言えば圧縮する力を大きくし、たとえば300倍とかにすると同じボンベでもたくさんの酸素を入れ、長い時間酸素を供給できますが、それをしない理由は圧力が高いと危険を伴うのです。
風船を思い浮かべてください。
風船もボンベとよく似ています。
口から圧縮した空気をいきよいよく出して、風船内に入れます。
風船内の圧力は高まると同時に風船のゴムは延ばされて大きくなっていきます。
ある程度膨らまして、風船から手を離すと圧縮した空気がいきよいよく出てきて風船が飛んでいきます。
さらに風船を膨らますと風船の容量が限界にきて破裂します。ボンベでも同じように危険が伴うので、高圧ガス保安法令によりで封入圧が規定されているのです。
その圧力は14.7Mpaで147気圧です。
酸素ボンベの残量を計算する!!
酸素ボンベのがあとどのくらい使えるか?がどのようにすればわかるのかというと、酸素ボンベに取り付けられた圧力計の指示値と現在使用している酸素流量で算出が可能なのです。
ボンベ残量は(L)は↓
圧力指示値(Mpa)×ボンベ容量(3.4L)×安全係数(0.8)×10
で計算できます。
圧力計の指示値が14Mpaだとすると
14×3.4L×0.8×10=380Lであるとわかります。
圧力系の指示値が5Mpaだと
5×3.4L×0.8×10=136Lであると言う事がわかります。
これに酸素使用流量がわかればあと何分で酸素ボンベが空になるかもわかります。
それは上記の酸素残量計算値を酸素流用で割る事で求める事ができます。
酸素残り時間(min)= 酸素残量L÷酸素使用流量L/min
おなじく酸素ボンベ圧力指示値が14Mpaで、酸素使用流量が2L/minであれば
(14×3.4×0.8×10)÷2で 190分程度で酸素ボンベが空になると言う事がわかるのです。
意外と簡単な計算で酸素ボンベの残量や残り時間が求める事ができたと思います。
ぜひ一度ご自分で計算して酸素残量を計算する習慣を身につける事が重要です。
特に、患者搬送などで人工呼吸器を酸素ボンベから酸素を使用して運用する場合、高いFio2や高い流量を作る人工呼吸器ではすぐにボンベは空になってしまいます。
たとえばですが、FIo2が50%で 一回換気量が600ml 分時換気量が9L/minとします。
なんと1分あたり4.5Lの酸素が必要になる事はわかるでしょうか?
3.4Lのボンベでは500L満タンでも100分ほどしか持たない計算です。
もしFio2が100%なら、その半分の50分ほどしかもたないのです。
もし残量計算ができれば目的地までの時間などを勘定して、必要ボンベ数が算出できるのです。