透析用カテーテルの清拭・消毒について

透析用カテーテルについて

透析を行うカテーテルの種類には長期留置タイプのパーマネントカテーテルと緊急的・一時的に透析治療を行う為に用いるテンポラリーカテーテルの2種に大別されます。

違いや特徴については

透析パーマネントカテーテルについて

透析テンポラリーカテーテルについて  をご参照ください。

今回はこの2種のカテーテルの清拭・消毒についてご紹介いたします。

 

透析用カテーテルの素材

テンポラリーカテーテル及びパーマネントカテーテルに使用されている素材についててですが、どちらもカテーテル部はシリコンやポリウレタンを使用されている事がほとんどです。

さらにハブ部分である回路接続部の素材には、ポリアセタール(POM)またはポリカーボネート(PC)といわれる素材が使用されていますが、最近ではほとんどがPOMが主流で選択されているようです。

まとめると、体内に挿入されるチューブの素材は大きく分けてポリウレタンとシリコンが使われ、接続部はポリアセタールとポリカーボネートが使用されているということです。

ポリウレタン

ポリウレタンの特徴は弾力性がある事、血しょう板やタンパクの吸着が少ない事など長期留置に適した素材になります。

シリコーン

一般的はシリコンと言われていますが、正式にはシリコーンです。

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シリコーンではポリウレタン同様に血しょう板やタンパクの吸着が少ないうえに柔軟性がありこちらも医療分野では多用されている素材です。

ポリアセタール

ポリアセタールは強度、弾性率、対衝撃性に優れた素材でアルコールなどの有機溶剤にも耐性があり、チューブが抜けなくなる過嵌合(かかんごう)や割れを防ぐ事ができます。

ポリカーボネート

ポリカーボネートは安価で硬く、透明度がある素材に使用されます。たとえば一般的な三方活栓などです。ただ、硬い為に強い力が加わると割れたり、有機溶剤に弱いというデメリットがあります。

 

この素材によって使える消毒剤が変化します。

チューブを消毒する際に使える消毒剤

チューブに使えない消毒剤

ポリウレタンやシリコーンが透析用のカテーテルチューブに使用されている事がわかりました。

まずは使用できない消毒剤についてですが、シリコーンやポリウレタン同様、アルコール・ポピドンヨードは使用してはいけないと禁忌・禁止事項に表記されています。

刺入部の消毒に使用される消毒剤ではチューブ自体を消毒する事は禁忌とされています。

これは、シリコーンやポリウレタンでは繰り返しアルコールやポピドンヨードによる消毒によって素材が劣化すると言われています。

チューブに使える消毒剤

それではチューブに使用できる消毒剤はというと有名メーカー4社(林寺、BARD、二プロ、コヴィディエン)が出している添付文書に書かれている内容から抜粋します。

①クロルヘキシジン

 

②過酸化水素

など とされています。 ですので一般敵はクロルヘキシジンの低水準消毒を推奨されているわけです。

これはあくまで、チューブ自体の消毒になります。

刺入部や周辺皮膚の消毒にはアルコールやポピドンヨードなどCDCが推奨している薬剤を使用しましょう。

チューブに絶対に使用してはいけない薬剤

添付資料にかならず明記されている事で、チューブに使用してはいけない薬剤があります。

透析用チューブは清潔に保つ必要があるため、ドレッシング剤を貼る場合がありますが、長期にわたるとドレッシング剤のベタベタがくっついて汚くなる場合があります。

一般的はにはシールのベタベタをすぐにとる薬剤というと有機溶剤のアセトン・ベンジンですが、これが禁忌です。

どのメーカーもアセトン・ベンジンの有機溶剤でチューブの清拭をしてはいけいないとなっています。

理由はチューブが劣化するからです。

 

接続部の消毒で使える薬剤

透析用のチューブで使用できる薬剤ですが、接続部の素材はポリアセタール(POM)の場合とポリカーボネート(PC)の場合とで大きく異なります。

接続部がPOMの場合

アルコール、クロルヘキシジン、ポピドンヨードなど幅広い消毒剤が使用できます。

接続部がPCの場合

アルコール、ポピドンヨードなど有機溶剤の含まれる消毒液は使用できません。

低水準のクロルヘキシジンなどが使用できます。

 

まとめ

 全体をまとめると、刺入部の消毒はポピドンヨードでしっかり消毒し、チューブを綺麗にするときはアルコール・ポピドンヨード以外を用いて綺麗にし、透析毎のチューブ接続前の接続部消毒はPOMならアルコールorポピドンPCならクロルヘキシジンがベターっということです。

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