シャントPTAのデバイスと方法

まずPTAとはPercutaneous Transluminal Angioplasty(経皮的血管形成術)の略です。

最近ではバスキキュラーアクセスインターベーションセラピー(VAIVT)と特有の呼び方が一般的になりつつあります。

PTAは簡単に言うとシャントが狭窄や閉塞に陥った時に、4〜6mmの風船(バルーン)を用いて狭窄しているシャント血管内を広げる事によって狭窄や閉塞を解除する治療の事を言います。

シャントPTAのイラスト 血管内にバルーンカテーテルを挿入し、狭窄部を内側からひろげる方法。

方法はまずアクセスとする管(シース)を血管内に留置してそこから0.018inch(0.46mm)程度のガイドワイヤーで病変部を通過させます。

その後ガイドワイヤーをガイドにバルーンを進め病変部でバルーンを膨らませる治療をするのです。

「pta シャント バルーン」の画像検索結果

 

治療の詳細

詳細はこちらをご参照ください。

 

保険点数

K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術18,080点 

 

注 手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない。

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3か月に1回に限り算定する

 

 

シャントPTAのデバイス

いがいと解説しているサイトが少ないのでシャントPTAデバイスについて解説しておきます。

シースについて

良く使うのが4Frのシースでシースセットが存在します。

セットの中には上図のように0.035inchのガイドワイヤーと緑のインサーター、シースを挿入する際にシースに挿入しておくダイレーターなどが入っています。

 

ガイドワイヤー

シースを挿入したら、次にガイドワイヤーを病変部及びシャント吻合部から動脈内に進めていきます。

ここでいうガイドワイヤーとはシース挿入時に使用した、ガイドワイヤーではありません。

あくまでもシース挿入時に使うガイドワイヤーと治療時に使うガイドワイヤーは全く異なります。
以下治療に使うガイドワイヤーについて解説します。

先端形状

図のように先端がX線不透過となっており、先端が透視下でもしっかり視認できるようになっています。

先端の何センチかはコアテーパーと言い、先端にいくほど細くなっています。
このコアテーパー長などの程度によってワイヤ先端の硬さが変わります。

柔らかいものは中等度狭窄用で血管にやさしい代わりに、石灰化病変や高度狭窄病変では病変部を通りにくいというデメリットがあります。

逆に硬い(ハードタイプ)は石灰化病変や血栓性閉塞の病変部も通す事ができますが血管壁を破ってしますリスクも高くなります。

 

コーティング

ワイヤーは親水コーティングが施されており、水につける事でワイヤー表面に固定化されたポリマーに水分子が張り付き要は”ヌルッ”または”スルッ”とした触感になります。

これは血管内に進めた時の接触抵抗を限りなく下げるために行われいます。

 

先端形状

先端の形状も様々あり、一般的にアングルタイプとストレートタイプがあります。

アングルは少し曲がりが形成されており、血管の曲がりに対して追順よく操作できるようになります。

アングル角度はよくあるもので30°と60°タイプがあります。

 

ワイヤ長

メーカーによって様々ですが、心臓血管治療に使うワイヤでは長さが200cm程度あるのですが、シャントPTAともなれば100cm程度と短いのも特徴です。

PCIに慣れているかたにとってはなんて扱い易いんだっ!!と思うかもしれません。

実際、私もシャントPTAのデバイスが全て短いのでものすごく扱いが簡単だなとと思ったのが最初の印象です。

 

バルーンについて

ガイドワイヤーの通り道の違い

Rapid Exchangeタイプ

ガイドワイヤがバルーン先端からバルーンシャフトの途中からでるタイプです。

PCIデバイスでは一般的ですがシャントPTAのバルーンではあまりありません。

利点はバルーンの種類を素早く交換できるなどシャントPTAではあまり恩恵を受けないメリットであるのでそれほど種類がないのだと思います。

over the wireタイプ

ワイヤがバルーンカテーテルの先端から手先までカテーテル全体にガイドワイヤーが通る構造になっています。

こちらがシャントPTAでは一般的でしょう。

 

バルーンサイズ

バルーンサイズは4Frから6Frのシース用が一般的になります。

あとで説明しますが、耐圧バルーンやノンスリップバルーン、カッティングバルーンは6Frシースでないと通過しないデバイスがほとんです。

長さはバルーンサイズは2cmから4cmのものがおおく、カテーテル全体の長さは40cm前後ラインナップが多いです。

拡張圧に関してはコンプラインアスチャートがバルーンの箱や取説にのっているので確認しましょう。

コンプライアンスチャートにはNP(ノミナル圧)とRBP(レイティッド圧)がありNPは推奨拡張圧、RBPはそれ以上圧をあげるとバルーンが破けるという限界の圧を示しています。

「ノミナル圧」の画像検索結果

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バルーンはSHIRANUI EXスフィア®クロスなどがあります。

スフィアは結構面白いバルーンがあって、バルーンが曲がったものもあります。

 

 

 

バルーンの硬さ(コンプライアンス)と耐圧バルーン

バルーンには実は硬さが存在します。

これをコンプライアンス(柔らかさ)と言います。

主にシャントPTAのバルーンとして一般的に使用されているのはセミコンプライアンスのバルーン、いわいるセミコンバルーンと言い、中くらいの柔らかさが使われています。

逆にコンプライアンスがない(硬い)ものはノンコンプライアンスといい、ノンコンバルーンといいます。

どのように使い分けるかというと、石灰化病変やあまり広がりが悪い病変部ではバルーンを膨らませてもセミコンだとバルーンが犬の骨のようにバルーン上下に圧が逃げてしまい、しっかり目的の径まで拡張できないのに対して、ノンコンだとバルーンがしっかり、目的のサイズまでしっかり拡張します。

ドッグボーン現象

しかしノンコンはバルーンの厚みが厚く、硬い為病変部を通過しずらいというデメリットもあります。

 

ノンコンは別名耐圧バルーンなどと呼ばれ高い圧まであげる事ができます。

有名どころいうと

kanekaの大銀杏Ⅱとか35YOROI HCとかがあります。

 

ノンスリップバルーン

病変部をバルーンにて拡張している時に狭窄部からバルーンがずれてしまう場合があり、うまく拡張できないという時があります。

そんな拡張時の現象をスリップといったりしますが、それを軽減するバルーンも存在します。

ノンコート

バルーンにだけ親水コートをせずにスリップ現象を防ぐバルーンです 例えば大銀杏Ⅲなどがあります。

NSEタイプ

ノンスリップエレメントというバルーン表面にエレメントがついたバルーンでスリップを防ぎます。

 

上図のようなコイルがバルーン周囲に巻いてあるタイプのものもあります。写真は angioscultp

 

カッティングバルーン

通常バルーンや耐圧バルーンでも拡張困難な病変に対してはカッティングバルーンというバルーンの表面にカミソリ刃のようなブレードがついたバルーンで拡張する方法があります。

しかし諸刃の刃でシャント血管をカミソリ刃で裂け易い(ラプチャー)のもまた事実です。

正しい操作方法があるのでよく確認してからの使用をおすすめします。

 

 

インフレーションデバイス

バルーンを膨らませる時に使用するデバイスです。

「インフレーションデバイス」の画像検索結果

非常にたくさんのメーカーが出しているので、迷うところです。

このインフレーターに造影剤を入れてバルーンを膨らませる事で透視下において病変部を拡張します。

単位はatmやkgf/cm2とかいろいろですのでメーカーに問い合わせる事をおすすめします。

おすすめのインフレーターは

godmanのGM-30f

GM-30F

MedtoronicのEverest Disposable Inflation Device

Everest Disposable Inflation Device

何がお勧めなのかというと圧力ゲージの安定度と操作感です。

他のインフレートデバイスではおもちゃのような物も実際あるので、一度サンプル品でも手にとってみて操作してみるのもの良いかもしれません。

安かろう悪かろうではねっ・・・だめですよね?

 

 

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