手術動画の記録と学会提出について

はじめに

手術動画など学会に提出したり発表に使えるファイルにしたりする際に動画サイズをリサイズしたりコーデックの変更をしたりする事をエンコードといいます、またDVDやブルーレイに書き出す事をオーサリングするといったりします。

現在、医療用動画の編集やエンコード、オーサリングを依頼される事が多く、多くの医師からのご相談をいただきます。

手術動画に関して多くの医師から要望が多いものを他施設の医師やそれらの業務に携わる医療従事者の為に情報発信いたします。

 

まず知っておかなければならない動画の事

 動画の事で絶対に知っておいてもらいた事は解像度が異なるフルハイビジョンとフルではないハイビジョンとSDという3つがあると言う事、それらとは別にビットレートやフレーム数など動画の画質に関わる事柄があると言う事です。

 解像度とはいうなれば画面の大きさです解像度が大きいフルハイビジョンでもビトレートが低すぎれば画質は悪くなるのです。

 ですからフルハイビジョンは全て画質が良いというのは間違いです。

 逆にSDの640×480の解像度ではいくらビットレートが高くても画角が狭いのでPCや4Kテレビなど解像度が高い画面で動画をみると画質は悪く(引き延ばされて)見えます。

 一般的にDVDVideo形式で録画した動画は解像度が720×480でビットレートが10Mbps以下になります。解像度がハイビジョン以下なのでPCやTVなどで引き伸ばしてみるとやはり画質が悪いと感じる事があると思います。

 さらに動画を長くすると、ビットレートや解像度を落とさないと4.7Gバイトサイズに入りきらないので、長い動画はどうしても画質が悪くなるのです。

 

エンコードによって高画質化するというのは不可能な事で元の画質を超える事はできないと知っておきましょう。

 高画質なものから画質の劣化を極力防いで低容量の動画ファイルを作る事とDVDビデオからはDVD画質同等の動画ファイルしかできないと言う事をいがいに知らないものです。

 

 

 

手術動画提出の問題点

近年医師の認定制度の判断基準として術中動画(手術技術)の採点などがあります。

たとえば日本内視鏡外科学会などでは認定医の認定項目に手術動画の項目があり、消化器・一般外科、小児外科、産科・婦人科、整形外科の領域での内視鏡外科手術の動画の提出が必須となっています。

手術時の動画は一般家庭用のレコーダーや業務用レコーダー、さらに専用に作られた録画システムなどに録画されるのが一般的です。

この録画された動画を提出するわけですが、近年のデジタル家電領域や医療画像処理の発展は著しく高画質録画にともなうデータの肥大化などで学会提出する録画データを思うような記録方式で提出できないという問題があります。

 たとえばですが、先の内視鏡外科学会の消化器・一般外科領域における録画データ提出方法はなんとDVD媒体のみ許可となっているんです。

DVDといえば1層DVDなら4.7Gバイトと記録容量しかありません。

 最近の内視鏡では高画質をうたったものがではじめていて4K画質なんていう商品もあるのに提出動画は4.7Gバイトしかみとめられていないのです。

もし、ブルーレイディスクに手術動画を記録していればDVDへ記録する為には画質をおとして25Gバイトの容量からやく1/5の4.7Gbyteにおさまるようにデータを圧縮しなければならないのです。

さらにですが、別領域の小児外科学会では提出DVDをさらに一般家電で再生できるようにDVDVideo方式に書き出せと指定している始末です。

DVDにデータを焼くだけではだめという学会領域もあるのです。

今回はそんな様々な録画方式が採用されている手術動画に関してどのような対策が必要かを記述し、その具体的な対応について高機能なフリーソフトを活用した方法についてご紹介します。

検索して上位にでてくる怪しいフリーソフトやおすすめエンコードフリーソフト等まとめサイトで紹介されているフリーソフトは有償ソフトに誘導するサイトがほとんどであてになりませんので参考程度に。

 

 

その1 DVDVideoから発表用に動画データを抽出したい

手術動画を一般的なレコーダーで記録すると、一般家電のDVD再生機器やパソコンで閲覧が可能になり汎用性があがります。

スポンサードリンク

 しかし、その記録された録画データを学会発表などで使用したい場合にはDVDの中身から動画データを抽出しなければなりません。

学会発表用のスライドをパワーポイントで作った場合に使える動画はWMVファイル、mpegファイルやmp4ファイルなどしか使えません。

DVDVideoのファイルの中身はVOBファイルというビデオファイルが存在し、パワーポイントで使用するにはファイル形式の変換と動画の結合処理が必要になります。

具体的にDVDVideo形式で記録されたDVDから動画ファイルを抜き出す方法をご紹介します 

 

ソフトを使わずにファイルを抽出する方法

じつは、ソフトを使用せずともDVDビデオから直接ファイルを抽出する事が可能です。

DVDはmpeg2というファイルが分割されて格納されているのはご存知でしょうか?

そしてそのmpeg2というファイルの拡張子を.VOBという拡張子に書き換えて格納されています。

ですから、DVDから映像ファイルをソフトを使用せず抽出する方法はDVDの中の動画ファイルを(.vob)コピーして拡張子をmpegに直すだけなんです。

 

具体的な方法はこちらで解説しています。

 

ソフトを使った抽出方法

ソフトを使ってもDVDやブルーレイから動画ファイルを抽出する事が可能です。

ただし、高度な圧縮をしすぎると画質が劣化して見れたもんじゃなくなります。

高度な圧縮とは動画ファイル容量を小さくしたり、解像度を著しく変更する事をいいます。

高度な圧縮を行うと、ファイル容量や一秒あたりの動画容量であるビットレートを下げる事ができますが、画質が悪くなります。

メリットはファイルが小さくなるので、持ち運びが便利になる事や編集が低スペックPCでも可能になる事です。

 

DVDやブルーレイから動画ファイルを抽出するソフトはフリーのものや有償ソフトまで様々ありますが、フリーソフトでも十分な機能を持っているものがあります。

検索などで上位にヒットするものは選んではいけません、ほとんどが有償ソフトへと導くための罠で、フリー版の機能では十分な役目を果たせないものばかりです。

ですので、ここではフリーソフトでも十分な機能と性能があるものの具体的な使い方をご紹介しておきます。

フリーソフトをつかったDVDやブルーレイから動画ファイルを抽出する方法

 

 

 

その2 高画質動画をDVDに収まるように圧縮する

とくに、業務用レコーダーや手術室動画専用に作られたシステムで録画した動画はコーデックがH264のmp4ファイルとして記録されている場合が多いと思います。

mp4ファイルとしてサーバーに保存され、電子カルテ上でも閲覧できるシステムなどがそれにあたりますし、手術室で大容量USBメモリやSDカード上に記録する場合がそれにあたります。

そのような動画ファイルは高画質で録画されている事がほとんどで画面のサイズがフルハイビジョン(1920×1080)もしくはハイビジョン(1280×720)で撮られています。

動画の容量は録画設定でも違ってきますが、ビットレートと解像度でほぼ決まります。

だいたいですが、高画質のモードでとると解像度はフルハイビジョンでビットレートは10Mbps程度で録画する事が多いようでだいたい1時間の動画で7Gバイト以上です。

 

こういった動画をDVDに収まるようなサイズにするにはエンコードをしてビットレートや解像度、さらにはコーデックなどを変える(低くする)必要があります。

 

長時間の動画をDVDに収まるように小さな容量にする為にビットレートを下げすぎると画質が間違いなく悪くなりますが、ある程度の値を保っていれば人間には綺麗に見えます。

もちろんビットレートを下げ過ぎると画質悪化がとても気になるレベルになるはずです。

 

その為内視鏡外科学会では推奨エンコード設定を設けています。

上記のとおりDVDあたりの動画時間なども定められていたりします。

長時間の動画などはエンコードと共に時間動画を分割する必要もありますし、長時間の動画の一部分だけ抜き出したいというニーズもあります。

 

高機能フリーソフトで動画をエンコードをする

百聞は一見にしかずです。とりあえずフリーソフトでも高機能で簡単に動画をエンコードする事が可能ですので、お試しください。

具体的な方法はこちらで詳しく載せています。

 

動画を任意の時間で分割する方法

動画を任意の時間で分割すると言う方法も実はフリーソフトで実現可能です。

あまり、動画を分割する事は少ないかもしれませんが、もしもの時の為に知っておいて損はありません。

具体的な方法はこちらです。

あっそれと、このフリーソフトを使えば上記の方法で任意の時間帯だけの動画を抜き出す事も可能になります。

 

手術全体の動画はいらないけど、学会発表などで、ここぞという場面だけ発表する場合などに役立ちます。

ぜひご活用ください。

 

 

その3 高画質でとったブルーレイから動画を抽出する

業務用レコーダーで動画を記録する場合にはブルーレイに記録する事がほとんどだと思います。

ブルーレイ対応の家庭用レコーダーも存在しますが、医療用カメラの入出力はSDIという端子になるので、家庭用レコーダーでは一般的にDVDなどでの記録とする事がほとんです。

ブルーレイに記録された動画はもちろん民生機用の動画形式で記録されており、そのままではポワーポイントなどにも使えませんし、DVDに焼き直す事もできません。

ここでもブルーレイから動画を任意のファイルへエンコードする必要があります。

 

ブルーレイから高画質動画ファイルを抜き出す方法

もうおわかりでしょうけど、これもフリーソフトでできます。

具体的な方法はこちらより

 

 

その4 DVD、ブルーレイ、動画ファイルから静止画を作りたい

これも学会発表やレポート、学会誌、論文など様々な用途で動画の一部分の静止画を抜き出したい時があると思います。

簡単に高機能なフリーソフトだけで高画質動画から静止画を作成する事ができます。

 

ブルーレイ、DVD、動画ファイルから静止画を作成する方法

こちらも具体的な方法はこちらより

 

以上の事を履修するれば学会発表や研究会、認定医などでの動画提出で困る事はありません。

 

せんきゅ!!!!

 

 

スポンサードリンク
カテゴリー: 手術室関連 パーマリンク