術中モニタリング AMR(異常筋反応)について

AMRとは 

AMRとは abnormal muscle response(異常筋反応) といって通常顔面神経の枝である例えば頬骨神経を電気刺激するとその支配領域である眼輪筋は収縮しますが、頬骨神経の支配領域でない顎付近のオトガイ筋は収縮しないのが普通です。

しかし、顔面痙攣のある患者さんでは、なぜか頬骨神経を電気刺激すると支配領域でないオトガイ筋も収縮してしまうという異常筋反応がでるのです。

それをAMRと呼ぶのですが顔面痙攣の原因である顔面神経の圧迫を外科的に解除するとこのAMRは速やかに消失する為、手術の際にAMRをモニタしておくと手術の成功が即座にわかり術後の顔面痙攣の消退の結果を術中から知ることができるんです。

さらに、術中にAMRが残っていると高確率で顔面痙攣が残ると報告されており、顔面神経が圧迫されている顔面痙攣の外科的手術時の術中モニタリングにおいてAMRのモニタはとても重要視されはじめています。

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今回はそんな大事なAMRについてセッティングなどの詳細をご紹介します。

 

AMRのセッティング

記録

まず、記録する筋肉は眼輪筋とオトガイ筋の2つです。

それ以外でも良いのですが比較的頬骨神経と下顎神経の領域をモニタしたほうが間違いありません。

電極はシール電極でもいいですし、針電極でもOKです。

2本ずつ電極を設置します。

刺激電極

刺激は下顎神経や頬骨神経のうち一つを選びます。

どちらでもOKで、要は頬骨神経を刺激してAMR(オトガイ筋反応)、もしくは下顎神経をを刺激してAMR(眼輪筋反応)をモニタできれば良いのです。

どちらのうち一方、または両方のうち片方づつ刺激して判断する施設もあります。

下図はモニタ電極及び刺激電極の設置例です。

 

刺激条件

 刺激強度

 210mA まぁだいたい5mA程度からはじめて反応電位が記録できればOKです。

 刺激幅

0.2msec 最近では単連刺激ではなくトレイン刺激で行う事が多いです。

500Hzのトレイン刺激なら2msecごとに幅が0.2msecの刺激を5回連続で行うのを一回の刺激とします。

 

記録条件

 フィルター

 20Hz1500Hzまでを記録できるようにファルターを設置します。

 分析時間

 2030msec だいたい10msec程度から反応がでる事が正常です。

 可算回数

 1回 ワンショットワンモニタです。要は可算するまでもありません。

 

注意点

AMRは神経刺激の筋電図モニタです。よく言われるMEPとは少し違い神経刺激のCMAP(複合筋反応)に近いです。

しかし、MEP同様に麻酔薬の種類により電位は抑制され出なくなる事があるので、筋弛緩剤などには注意が必要です。

MEP同様に麻酔科に麻酔薬の調整や麻酔深度を一定に保つ必要があります。

 

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