自己血回収血とヘパリン 処理血液中のヘパリン濃度について

自己血回収装置とは心臓外科手術や整形外科、婦人科手術での大量出血する際に、吸引にて血液を清潔に回収し、ヘパリン入りの生理食塩水などにより血球を洗浄し細胞片や脂肪組織やタンパク質などを遠心分離除去し、主に赤血球成分のみを濃縮し再び体内に静注する事で大幅な失血を防ぐ事のできる医療機器の事をいいます。

術前に自己血を採取して術中術後に自己の血液を輸血する自己血輸血とは異なり、緊急手術など大量に失血してしまうような状況で活躍するのがこの機器の特徴です。

 

吸引血をリザーバーに導き貯留・洗浄・分離処理を行うので抗凝固剤であるヘパリンを使用する事が前提です。

ヘパリン入り生理食塩液を吸引血とともにリザーバーに貯め、抗凝固するのが一般的です。

ヘパリンの濃度はというと500ccの生食にヘパリンNaを1万単位程度、1000mlの生食だと2万〜3万単位程度入れる事が推奨されています。

ですので20〜30IU/ml程度のヘパリン濃度という事です。けっこう高濃度です。

 

心臓血管外科や整形など大量に出血しまう症例では、術中の”止血”もとても重要となります。

そこで気になるのがヘパリン入りの吸引血を処理した処理血液はヘパリンが入っているのか?それとも除去されているのか?です。

 

PubMedやネットでヒットする論文を探してみました。

そうするとフレゼニウスカービィ社のcatとCellsaver5を用いた時の回収血と処理後血液の除去成分特性に関する論文を見つけました。

まずはCATSから こちらより読んでね

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ヘパリンの除去は99.83%±0.7

タンパクの除去は98.1±0.5%

という事です。

 

次はCellsaver5の論文です。

よんでいただければわかる通り、処理後血液のヘパリン濃度は0.15IU/ml±0.1IUだったそうです。

記述では生食500mlに1万5000単位のヘパリンを添加してますので、

除去率99.16%〜99.83%とわかります。

 

結論ですが、ヘパリンは限りなく除去されるという事です。

もし処理後血液が5Lと多くてもヘパリンは700単位以下程度しか入らないという事になります。

 

そもそもヘパリンはアンチトロンビンⅢと結合して効果を発揮するので、遠心分離で大部分が除去されると考えられます。

また、遠心分離で血しょう成分も除去されるので、99%以上の高効率に除去されるのでしょう。

自己血回収装置ではヘパリンは

確実に除去されます!!

 

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