人工心肺手術や補助循環で使用されている遠心ポンプですが、その種類は2017年現在11種類を数えます。そんな複数ある遠心ポンプに今回はマトを絞ってその特徴を解説していこうと思います。
ちなみに11種類をもとめたPDFをアップしておきます。
人工心肺装置で使われる遠心ポンプの種類
人工心肺で使用される遠心ポンプは大きくわけて2種存在します。
まず、回転する2-3枚のの円錐(コーン)両間の粘性摩擦により、血液をひっぱることで遠心力を発生させる粘性摩擦型↓ちなみにメドトロニックポンプだけが現在コーン型です。
インペラの形状での分類
遠心ポンプにはコーン型と羽根車型がある事がわかったところで、羽根車型について詳しく説明していきます。
羽根車(インペラ)により血液を回転させ遠心力を発生させる羽根車型(インペラー型)があります。
さらにですが、羽根車型(インペラ型)はその形状により直線羽型と曲線羽型があります、見たまんまですが、インペラである羽根が曲がっているか曲がっていないかの違いです。左が直線羽で右が曲線羽です。
直線インペラの代表的な商品
京セラ:ジャイロポンプ
MERA:HPM系ポンプ
曲線インペラの代表的な商品
リヴァノヴァ:レボリューションポンプ
JMS:ミクスフローポンプ
マッケ:ROTAFLOWポンプ
インペラの構造的な違いでの分類
インペラの構造的な違いでクローズドインペラとオープンインペラが存在します。
クローズとオープンの特徴はざっくり言うと、クローズドインペラーは圧力を高く(要は高いところまで送れる)できる高揚程といったメリットがあり、オープンインペラは大流量が期待できます。
しかし、血液を吐出する遠心ポンプではその違いを享受するメリットはあまり無いような気がします。
クローズドインペラタイプの遠心ポンプで市販されているのはテルモのキャピオクス遠心ポンプだけです。↓これね!
何が違うのか?というとインペラにshroudという側板がついていて、インペラが密閉されています。↓
クローズド
オープン
遠心ポンプのシャフト部構造
遠心ポンプは、シャフト部への血液侵入を防ぐためにシールされているものが多いのですが、シール部の血液リークが起こやすくシャフト部に血栓が形成されるという問題があります。
素人感覚では、シール(密閉)していたほうがポンプの使用できる時間ゆわいる、ポンプのライフタイムは長そうですが、そうではないようです。
そこで、ジャイロポンプ、ミクスフローポンプ、レボリューションポンプ、rotaflowは構造的にシールを不要とした長期使用タイプの遠心ポンプとして販売されています。
このシールを不要とした長期使用タイプというのは、なんのこっちゃないインペラにピボットというコマのような凸部分をつくり、それを軸にして血栓ができにくくしているのです。
メーカーによってはそのピボット周辺をチタンで覆ったり、熱につよいセラミックにしたり、と様々な研究から色々な素材を駆使して血液滞留や熱による血栓形成を低減するようなポンプを作ろうと努力しているのです。
今後の展望
最近では補助循環のシステムにおいて磁気浮上型遠心ポンプがしようされ始めており、より長期的な補助循環が望めるようになってきました。
磁気浮上型とはピボットなど、どうしても軸で発生する熱や摩擦を磁気の力でインペラ自身を浮上させる事で解消するというもので、すでに欧州では販売されています。