透析室で起こるSPo2の低下について

透析室ではパルスオキシメーターで酸素飽和度(SPO2)を計測している施設は多いんじゃないでしょうか?

中には透析開始時から30分までに酸素飽和度が下がる患者さんがいます。

今回はそのような透析開始時から酸素飽和度が下がる減少と酸素飽和度について解説します。

 

酸素飽和度とは?

酸素飽和度とは酸素を全身に送る赤血球にどれくらい酸素がくっついているかの指標で、赤血球には酸素がくっつける最大量が決まっているので、最大が100%としてのくっつき度(飽和度)を計測するのです。

とても簡単に説明してみましたが、実際には酸素は赤血球内のヘモグロビンに取り込まれます。

ヘモグロビン1gには酸素が最大で1.39ml取り込まれる計算です。

ヘモグロビンはヘム鉄という鉄が主成分で、鉄に酸素をくっつける(酸化)させる事で酸素を運びます。

そこで思い出すのは錆びた鉄です。サビる=酸化です。

サビた鉄の色は赤色ですよね?

血液が赤いのは酸素とくっついている証拠なのです。

脱線したので、話を戻すと要は酸素飽和度というのはどれくらいの酸素が赤血球にくっついているか?を表すということです。

ですので貧血で赤血球自体が少なくても、心臓や血管が悪くて末梢の循環が悪くても肺での酸素の取り込みに問題無ければ酸素飽和度は正常値を表示するという事です。

ただし、手足で計測するパルスオキシメータでの酸素飽和度は動脈血の赤色・近赤外光反射を用いるので脈動がなければ計測できません。(循環不全だと計測できない)

 

極論を言うと、酸素が足りているか?の検査ではなく酸素飽和度は簡易的に肺での酸素の取り込みを主にみているという事です

 

正常値は透析患者でも97%以上が必要です。

 

 

酸素飽和度が下がる原因

透析室で酸素飽和度が下がるもしくは低値を維持している原因は

  1. 肺水腫などによる一時的な酸素の取り込み不良
     透析患者様ではあまり水分を取りすぎると溢水状態となります。最初は循環に関与しない場所に水がシフトされる為、むくみなどとして症状がでますが、やがて限界になると血管内にも水分が多く貯留し、限界を迎えると心臓が動きにくくなりやがて肺にも水が溢れてきます。
     このような状態を肺水腫といい、溢水のほかにも心不全でも同様な事がおこります。
     肺が水浸しになるともちろんガス交換はできなくなるので、酸素飽和度は下がります。

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  2. COPDなどによる慢性的な酸素取り込み不良
    こちらは肺の肺胞自体が肥厚したり繊維化したりして、ガス交換が障害されている状態です。
     ですので、透析時に限った酸素飽和度の低下というよりは持続的、慢性的にSPo2が低い状態です。

  3. 呼吸に問題があり酸素取り込みが不良となる場合
    特に多いのは、透析時に寝るとSpo2が下がる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の場合です。
     SASの場合、無呼吸となるので単純に酸素飽和度が下がります。
  4. 一過性白血球減少症(ロイコペニア)にともなうもの
     通常、透析時に常時酸素飽和度を計測している事は少ないので、軽度のロイコペニアによる酸素飽和度の低下を見つける事は少ないと思いまが息苦しさなどの症状が現れるかたも実際にいます。
     ロイコペニアの原因は膜素材などによって活性化された白血球が肺の毛細血管内に集まる事にあります。

 

 さまざまな原因があるので、症状や状態を見極めながら対処する必要があります。

 

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