短期留置カテーテルを知る ”ダブルルーメンカテーテルの事”

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バスキュラーアクセスとは透析やその他血液浄化を行う為のポートとなります。

 その種類は自己の血管やグラフトによって動静脈を吻合した内シャントであったり、首の内頸静脈や足の付け根の大腿静脈より右心房近くで血液を出し入れできる管などであったりと多様です。

今回はその中でも一時的に留置する短期使用型カテーテルについて復習します。

 短期使用型カテーテルは別名テンポラリーカテーテルと言い英語でいうtemporary:一時的にという言葉のとおり、一時的にバスキュラーアクセスを導入する場合に使用されます。

その導入理由は様々で、透析をしないといけないのに内シャントが使えない、もしくは内シャントが無い場合や短期的にアフェレーシス治療を行う場合などに用います。

 

挿入部位

挿入部位を大きくわけると次の3つに分類されます。

右内頸静脈:最近では第一選択とする事が多く、右心房付近にカテーテル先端を留置できるので、脱血トラブルが起こりにくいです。
しかしカテ先が十分に進んでいない場合、呼吸性変動や血管壁の吸い付きなどが起こる為、逆に送脱血トラブルが発生する事があります。

左・右大腿静脈 :(右大腿静脈が第一選択となる事が多い)生理的な屈曲から右が選択される事が多いです。陰部付近で感染を励起させたり、可動部である事から身体の拘束を伴う為、近年では内頸静脈が使えない時以外はあまり選択されません。

 

右鎖骨下静脈:10年以上前までは鎖骨下静脈も選択肢としては上位でしたが、穿刺時に肺を穿刺して気胸を誘発したりする事例が多発しこちらも第一選択として選ばれる事は無いです。

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2009年に日本麻酔科学会の安全委員会も下記の如く穿刺部位の特徴を示しています。
どの部位も一長一短あるというわけです。

PDFはこちら

 

 

テンポラリーカテーテルの種類は?

カテーテルを販売している有名どころのメーカーはメドトロニックユニチカニプロBARD林寺などがあります。

製品に特徴もあって、先端形状、素材、内腔形状、抗凝固性能などが製品によって異なります。

最近はウロキナーゼ固定化抗血栓性カテーテルといって微小血栓溶解作用のあるウロキナーゼをカテーテルに固定化しているものもあったりと長期開存をうたったものが主流です。

まぁ個人的にはどこのもほぼ一緒で、セット内の違いや好みによって決定している病院が多いと思います。

 

カテーテルの構造

太さと長さ

大人用のカテーテルで選択される事が多いのは太さが12Fr、小児だと6Fr〜9Frになります。

カテーテルの長さも
右内頸静脈、右鎖骨下静脈であれば10〜16cm前後
左内頸から入れるのであれば20〜25cm前後

大腿静脈からだと20cm〜25cm

とメーカーのライナップによって異なりはしますが、おおむね上記に示す通りです。

 

形状の特徴

エンドホールタイプ 下図でカテーテルの先端が段差になってますが、脱血を行うところがその段差部分となっているのです。
その段差部分が一つの穴になっており、その部分をエンドホールと呼びます。
エンドホールタイプは血管壁の張り付きなどが起こりにくいという特徴があり、高流量を目指したカテーテルはだいたいエンドホールタイプです。
送血は先端部分の穴になります。

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コアクシャルタイプ  コアクシャルタイプは筒の中に筒があるタイプで、トリプルルーメン(3本のルートがあるもの)以上のカテーテルで採用あれている事が多いものです。
上記のサイドホールタイプのV側に内側に細いコアクシャルチューブがあり、輸液ルートとして利用する事が可能であるという商品が存在します。

 

側孔タイプ(サイドホール)  こちらは側孔といって血液を手前から数個空いた穴から取り出して先端から送るという仕組みです。

 

現在は高流量、脱血トラブルの観点からエンドホール型が主流となっています。

また、メドトロニックだけですが、スライド機能で先端開口部を閉じたり開けたりする機能を有するカテーテルもあります。

 

通常は上図のように脱血部分を閉じておいて

使用する場合は下図の様に脱血部分を開放します。

使用感からいうと脱血不良などトラブル減少率はほとんど他カテーテルと変わりません・・・・・
ですので脱血ラインの形状や管理方法が脱血トラブルの原因ではないようです。

 

カテーテル内腔

図はメドトロニックの製品ですが、他メーカーもほぼ同様の断面になっています。

カテーテルが柔らかいと断面の区切りに対して水平方向でキンクが発生しやすい事がありましたが、最近では硬いポリウレタンを使用しキンクしにくくなっています。

コアキシャルタイプは下図のように内側にチューブが存在していますので二重の構造となります。

デメリットは、ダブルアクシャルに比べ全方向にキンクしやすい構造になっています。

 

 

カテーテル接続部

 

接続部の形状は上図のように曲がっているものとストレート形状のものがあります。曲がっているものが内頸静脈用で、曲がっているので首からピョーンとカテーテルが邪魔になりません。

内頸からストレートを入れると以外に邪魔になって管理しにくいものなのです。

 

回路接続部については素材に違いがあるものがあります、最近はで接続部素材がポリアセタール(POM)を使ったものが増えています。

ポリアセタール(POM)の他にポリカーボネート(PC)が使われているものがありますが、ポリカーボネート(PC)はアルコールによる割れ、変形、接続部に透析回路が入りすぎる現象(過嵌合)が起こり易く注意が必要です

ポリアセタールだと素材に強度がある為割れたり、クラックが入る事は希です。
また写真にあるように、カテーテル内腔のボリュームがカテーテルに記載されている事がほとんどで、写真では1.7ccと1.6ccと記載されておりますが、ほぼすべてのカテーテルで3cc未満が内腔ボリュームとなっています。

 

挿入方法

セット内容:メーカーによって異なりますがほぼ同様のセット内容になります。

 

挿入方法はここのサイトがわかりやすく説明されています。ご参考までに。

 

 

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