現在多種多様な血液透析以外の血液浄化療法が存在します。

今回はそんな血液透析以外の血液浄化療法の種類についてざっくり場合分けして系統的に理解していこうと思います。

 

 

 

血液浄化の種類について

まず、血液を浄化するにあたって病因物質の除去方法での違いがあります。

その除去方法の原理の違いは、透析でおなじみの限外濾過、拡散などにはじまり、そもそも病因物質が存在する血漿成分を分離・廃棄してその分を補充する方法、分離するにも病因物質を選択的に分離し除去したり、病因物質を選択的に吸着除去する方法、分離する方法も膜で分離したり、遠心分離で分離したりと多岐にわたります。

今回は血漿交換関連と血漿分離を伴う吸着及び血漿分離を行わない吸着関連に分けて説明していきます。

 

血液浄化の全体像

アフェレーシスを大きく分けると上記のようになります。

大きく分けると血液を取り出し、血漿と血球に分離したのちに何らかの処理を行うものと直接血液を処理するもと、それ以外の”その他”に分けると事ができます。

今回は”血漿を分離する方法”と”直接血液を処理”するものとに分けて説明していきます。

 

適応疾患について

様々なアフェレーシスの方法がありますが、適法疾患についてはこちらのサイトでまとめられています。

 

特定保険材料費

アフェレーシスに関する償還材料費についてもこちらのサイトが参考になります。

 

〜血漿を分離する方法〜

PE

まずは血漿交換療法からです。

一般的に言う血漿交換療法は”単純血漿交換”(SPE)と言われます。

単純血漿交換療法は血液を分離膜によって血漿と血球に分けて、病因物質が多く含まれる血漿を廃液します。

廃液した血漿の代わりに、FFP(新鮮凍結血漿)やアルブミン溶液を同じだけ補充するというまさに”単純”(simple)な血漿交換治療になります。

単純血漿交換(SPE)

単純血漿血漿交換はSPEと呼ばれ、最初のSはSimple(単純)です。後述するSePEとは異なる為違いを記述しておきます。

FFP置換

廃液する血漿の代わりにFFPで血漿を補充します。

メリットは凝固成分が補充される事、デメリットはFFP補充による感染やアナフィラキシー症状の発現、FFP保護成分の作用による低Ca血漿や高血糖などがあります。

FFPの置換量ですが、全血漿量×1.2〜1.5がもっとも一般的です。

計算は、体重×80ml/kg×(1-Ht%/100)×1.2〜1.5

で計算できます。

 

ALB溶液置換

廃棄する血漿のかわりにFFPではなく、アルブミン溶液を使用する血漿交換もあります。

アルブミン溶液を使用する利点は上記FFPのデメリットが解消される事ですが、アルブミン溶液を使用するデメリットもあります。

ずばりデメリットは凝固系がガタガタになり出血傾向となる事です。経験的に連続でアルブミン溶液による血漿交換は3回程度が限度でフィブリノーゲンなど凝固因子が不足してしまいます。

またアルブミン溶液での置換は、アルブミン溶液の濃度も考慮しなければなりません。

大人であれば治療前のアルブミン濃度からそれに見合うアルブミン濃度にすれば良いのですが小児や循環動態が悪い患者様の場合、血漿こう浸透圧を考慮しCOPなどからアルブミン濃度を求めます。

濃度が決まれば置換量も同様で、

体重×80ml/kg×(1-Ht%/100)×1.2〜1.5

で計算できます。

 

 

選択的血漿交換(SePE)

表記としてはSePEと表現される事が多いのですが、Selectiv PEといって分離膜のポアサイズ(穴の大きさ)を小さくして、血漿の中でも結構大きなサイズの物質は抜けないように工夫した血漿交換もあります。

製品名ではエバキュアーと呼ばれる膜でアルブミンのふるい係数が0.6と0.2の製品が存在します。

主に急性血液浄化領域で持続的に血液浄化、特に大分子毒素の除去、たとえば術後肝不全、劇症肝炎などで上昇するビリルビンやミオグロビン、アルブミン吸着毒素などの除去目的として行われる事が多いようです。

 

 

 

DFPP:二重濾過血漿交換療法

DFPPとは血液を血漿と血球とに分離し、血漿成分をさらにポアサイズ(膜の穴のサイズ)の異なる膜によって分離し選択的に病因物質を除去し、膜を通過した血漿成分の中でも小さな物質は体に戻すという治療法になります。

なんだか上記で説明したSePEと似ていますが、2つの膜を使うという点で異なります。

2つ目の膜のポアサイズによってターゲットとする病因物質の種類や病因物質の除去効率などが決まります。

 

国内で販売されている膜の種類ですが、まず血漿分離膜は3種類あります。

旭化成のプラズマフロー

膜面積で0.2㎡ 0.5㎡ 0.8㎡があります

 

川澄のプラズマキュアーPE

同様に膜面積で0.2㎡ 0.5㎡ 0.8㎡があります

 

サルフラッックスFP

同様に膜面積で0.2㎡ 0.5㎡ 0.8㎡があります

 

ここまで説明してなんなんですが、この3種類すべて同じ性能で名前が違うだけです。

作ってるところが同じなんです。

 

さらに2つめの膜ですが、

旭化成がカスケードフローECを販売しており、種類も4種類あります。

EC-20W EC-30W EC-40W EC-50W と種類があり数字が大きくなるにつれてポアサイズが大きくなります。

 

川澄だとエバフラックスという販売名で全6種類販売されています。

こちらも2A10 4A10 2A20 3A20 4A20 5A20と種類がわけらており、2A、3A、4A、5Aがポアサイズで旭化成の20W、30W、40W、50Wに相当しています。

さらにそれに続く10や20といった数字が膜面積を表し10だと1.0㎡で20なら2.0㎡になります。

 

適応疾患は様々あるので、こちらのサイトでご確認ください。

 

また、単純血漿交換とことなり置換液が少量で済みますが多少のアルブミン溶液が必要となります。

どのようなデバイス(2つ目の膜)を使っているかで計算が異なるので、計算の考え方を記載しておきます。

 

 

DFPP時の補充液の考え方

DFPPの二時膜側をエバフラックスの2Aを用いた場合を考えます。

2A膜はアルブミンのふるい係数が0.6です。だから膜を通過させると血漿中の6割のアルブミンが膜を通過し4割のアルブミンがカットされる事になります。

血液側の流量は100ml/min

血漿分離スピードはQBの30%として30ml/minとすると・・・

血中のアルブミン濃度を仮に4g/dlとし、血漿処理量を3500mlと過程します。

血漿中のアルブミンは4g/dl×35dl(3500ml)で140gです。

膜によって除去されるアルブミンは4割なので140g×0.4=56gとなります。

 

補充すべきアルブミン量はわかりましたが、補充すべき流量がわかりません。

QBと血漿分離速度はわかっているので、1分あたりの補充アルブミン濃度がわかれば補充スピードが求められます。

 

血漿分離速度は30ml/minなので含まれるアルブミンは4g/dl、1mlあたり0.04gとして0.04×30で1.2g/mlです。

このうち膜を通す事で4割が喪失し、6割が膜を通過して血中にもどされます。戻されるアルブミンは0.72g/minになります。

喪失するスピードが0.48g/minなので、このスピードでアルブミン溶液を補充すればよいのです。

 

ポンプの性能で1ml/min以下では設定できないのでそれ以上とする事、体液を増やしたくないということからも補充液容量を仮に500mlとすると補充すべきアルブミンが56gなので56g/500mlとすると11%となりました。

この濃度だと0.11g/mlなので、一分あたりの喪失スピード0.48g/minを0.11g/mlで割ると4.36ml/minという補充スピードとなる事がわかります。

容量が500mlで流量が4ml/minなので、125分は治療を継続する事ができ処理血漿量も3750mlまでいけます。

 

長く説明しましたが、基本的な設定は

QB=80〜120ml/min

QF(血漿分離スピード)=30ml/min 以下

置換補充液 400ml〜800ml アルブミン濃度は8%〜14%

補充スピードは3〜7ml/min程度(だいたいQBの5%程度)

として上記のような簡単な計算をすればOKです。

 

最近ではDFPP補充液設定早見図などが日本アフェレーシス学会などから出ているので参考になります。

 

血流量、血漿分離速度や補充スピードは固定で考え処理量から処理時間を逆算して補充液量を決めるのがもっとも簡単な方法と言えるでしょう。

 

 

IAPP:免疫吸着療法(血漿分離を伴うもの)

DFPPと混同されるかたが多くいますが、まったく別ものです。

ちなみに、IAPPはImmuno Adsorption Plasma Pheresis(免疫吸着療法)の略でもう一つの言い方にPA:Plasma Adsorption(血漿吸着)いう呼びかたがあります。

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PAのほうが、より広義でIAPPはPAのなかのより狭義的な意味になる事に注意です。

まぁどちらでもいいです。

 

回路構成はDFPPと似ているのですが、IAPPでは血漿分離したのち血漿を吸着カラムに導き病因物質を吸着除去します。

IAPPは単純血漿交換療法(PE)や二重濾過血漿交換療法(DEPP)で必要になる血漿製剤の補充を必要としません。このため、血漿製剤に由来する感染性因子やアレルギー反応のリスクを回避できます。

吸着カラムの種類が数種類存在しておりターゲットとする病因物質によってカラムを選択します。

今回はカラムの種類について少し説明します。

イムソーバTR-350(旭化成)

トリプトファンという淡白を吸着体(リガントと言います)にしているカラムです。

 

 

イムソーバPH-350(旭化成)

フェニルアラニンという淡白を吸着体(リガントと言います)にしているカラムです。

 

 

 

プラソーバBRS-350(旭化成)

ビリルビンと胆汁酸を吸着するのに優れた吸着カラム

 

 

 

メディソーバBL-300(川澄)

こちらもビリルビンと胆汁酸を吸着するのに優れた吸着カラムです。

旭化成からも出ていますが、川澄もまけていません。中身のリガントは同様です。

 

 

リポソーバーLA-15/リポソーバーLA-40S(カネカ)

カネカから発売されているのがリポソーバーで、デキストラン硫酸がリガントでLDLを選択的に吸着します。

適応症は難治性高コレステロール血症で、LDL、VLDL、LP(a) に対し、高い選択的吸着能を有しています。

このリポソーバですが、ほかのIAPPと異なり吸着性能が落ちると”賦活液”をカラムに流す事で再び吸着能力をリセットできます。

特殊な回路構成なので、カネカ独自の機械と特殊セットが必要なのも特徴と言えます。

そういったシステムを総称してリポソーバーシステムと言います。

最近では機器のレンタルもしているようです。

 

リポソーバーシステムに必要な機器↓

MA-03

MA-03画像

 

↓特殊な回路 リポソーバーシステム

 

 

セレソーブ(カネカ)

こちらもカネカより販売されているセレソーブです。

適応症はSLE一択になり、こちらもデキストラン硫酸をリガントとし、抗DNA抗体、免疫複合体、抗カルジオリピン抗体に対し、高い選択的吸着能を有しています。

リポソーバーシステム同様に専用の機器と専用の回路が必要です。

 

 

〜血漿を分離しない方法〜

血漿を分離しないと言う事は血液をぐるぐる灌流するだけのアファレーシスです。

吸着を主体とする治療法になり、DHPといいます。

DHPというのはダイレクト(直接) ヘモ(血液) パーヒュージョン(灌流)と言う意味です。

 

エンドトキシン吸着

PMX-DHP

敗血症などの際に血中に動員されているグラム陽生桿菌の細胞壁であるエンドトキシンを吸着します。

一本あたり30万円を超える高価なカラムです。

 

活性炭吸着

ヘモソーバCHS(旭化成)

活性炭(すみ)には無数の穴がありそこに病因物質を吸着するという吸着方法で血中より病因物質を減らします。

特に薬物中毒などに適応がありますが、薬剤の分布容積やアルブミン吸着率などが病因物質の除去特性に影響を受けるので薬剤の種類による吸着特性を事前に調べて実施する必要があります。

 

メディソーバDHP-1(川澄)

旭化成どうように川澄も活性炭を用いたカラムを用意しています。

 

 

白血球吸着

G-CAP:アダカラム

G-CAPとはGranulocyta Pheresisの略で訳すると”顆粒球フェレーシス”要は顆粒球除去と言う事になります。

潰瘍性大腸炎やクローン病、膿疱性乾癬に適応があるのが、このアダカラムです。

とくに白血球の顆粒球に特異的に働き吸着します。

リガントは酢酸セルロースビーズになります。

後述するL-CAPのようにごっそり白血球を除去しなくても選択的に活性化した顆粒球を除去するだけでも効果があるとわかってきており、L-CAPよりもG-CAP療法を先に選択する事が多くなってきています。

 

 

L-CAP:セルソーバ

L-CAPとはLeukocyta Pheresisの略で”白血球フェレーシス”要は白血球除去と言う意になります。

アダカラムは吸着で顆粒球を除去しますが、セルソーバはカラム内に不織布で作ったフィルターによって白血球をごっそり除去するというのが特徴です。

 

 

 

β2Mg吸着 

リクセル

この形、そうカネカです。

適応症は透析アミロイド症で、ヘキサデシル基をリガンドとするセルロースビーズが詰め込まれています。

このリクセルですが、保険償還をうけるハードルが結構高いのも特徴です。

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