脳ナビゲーションシステムについて

脳ナビゲーションというのは脳神経外科の手術において、術前に撮影していたCTMRIの映像を実際の手術を受ける患者に同期させ、脳内の腫瘍や組織の位置的情報を3D情報として得るものを言います。

文章ではなんのこっちゃ?となりますが、簡単にいうと脳の中をカーナビみたいに現在位置と目的地がわかるようにしたシステムと言ったほうがわかると思います。

どういう時に役立つのかというと手術をするときに、どこを切開して、どの方向に進めば安全に病変部まで到達できるのかが一目でわかります。 

また、病変の広がり、重要な神経や血管の位置、手術している部位をリアルタイムに正確に表示してくれるので、神経や血管を傷つけることなく、病変部を残さず切除するのにも役立つのです。

術中ナビゲーションシステムについてはどのサイトを見ても上記説明程度の解説しかされておらずイマイチです。

ですので、今回は私が少しだけ術中ナビゲーションについて踏み込んだ解説をいたします。

 

カーナビとは違う脳ナビゲーション

まず術中ナビゲーションシステムの原理ですが、他サイトでは車のナビゲーションの原理同様にとか車のナビと同じような原理と解説していますが、実は全く違います。

車のナビは地球を周回している人工衛星3から4機が出す電波にて地球のどの位置にいるのかを計算します。

術中ナビゲーションの原理ではあらかじめ決められた起点を元に縱、横、奥行きの3次元の中に実際の患者を配置、固定し起点と患者の関係が動かないようにした上で、あらかじめ撮影したMRICT画像を同期させ3D映像を作成するのです。

文章で書くと難しいですが、理解すれば簡単な事です。

 

基本的な脳ナビシステムの原理について

文章ではイマイチよくわからないと思いますので、簡単な図で光学式ナビゲーションシステムについて説明します。

 

まずは私たちの存在する3D空間をイメージしてください。

その空間は縦、横、奥行きに座標をとると表す事ができます。

その位置情報を得るために上図のような基準点となるものを設定します。

 

そして、ナビシステムの赤外線カメラより赤外線を発光させ、基準点に設定してある赤外線反射ボールの位置を認識させ、空間認識させます。

基準点は体を固定するアームなどに取り付け動かないようにします。

基準点が動けばナビゲーションはできなくなります。

 

 

そして、基準点と体(ここでは頭)との空間的な関係を読み取らせるために顔の硬いところ(やわらかいところはずれるから)をこれまた、赤外線反射ボールのついたポインタでなぞりシステムに読み込ませるのです。

これで基準点を起点とした3Dの顔の位置関係が決まります。

 

 

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さらに、システムの方で、事前に撮影されたCTやMRI画像の凹凸と実際になぞった顔の形の凹凸とをドッキングして、同期させます。

 

同期が終われば、複数あるインストゥルメントで操作するとナビゲーション機器の画面に現在のインストゥルメントの先端位置情報や角度などの情報がCTやMRIの3D情報として描出されるのです。

 

磁場式の場合も同様です。

 

 

 

 

光学式

ひとつは光学式というわれるもので、赤外線カメラと赤外線反射ボールを数個使って3次元の空間認識を行います。

もう一つは磁場式といって起点を顔などの動かないところに固定して、その空間認識に磁場を使い縦、横、奥行きの空間認識を行います。

 

磁場式

磁場式の特徴は磁場で3D空間を認識するので、赤外線が届く範囲でしか機能しない光学式とくらべ内腔の深い領域の手術などに使えます。

ただし、磁場を使う事で金属が磁場中にあると空間認識ができなくなるといった欠点があり、頭蓋骨を固定する器具もカーボンなどにしなければならずコストがかかります。

 

 

ナビゲーションシステムの種類

現在、この脳ナビゲーションができる機器にはメーカー別で3社ほど存在します。

もちろん各社とも脳神経外科領域だけでなく、整形外科や耳鼻科などでも使用されています。

StealthStation®

メドトロニックの製品でStealthStation® Treatment Guidance Platformは、脳神経外科、整形外科、耳鼻咽喉科手術に対応した光学式および磁場式手術支援用ナビゲーションシステムです。

多彩なアプリケーションやインスツルメントを取り揃え、多様化する手術手技を支援します。

特に磁場式はステルスステーションシステムに特化した機能です。

 

BLAINLAB

このブレインラボとメドトロニックのステルスステーションで脳ナビのシェアは9割を超えています。

このブレインラボじゃないとダメと言うDrもいるくらい、玄人向きの製品です。

磁場式ではなくすべて光学式ですが、特殊な器具が多くレジストレーションも簡単という特徴があります。

 

Stryker

整形外科領域などで有名なストライカー社が販売しているNAV3iというナビゲーションシステムです。

日本ではあまり普及していませんが、有名な脳外科医がプロモーションしているおかげで少し人気がでてきています。

性能的にも他社に引けをとりませんが、いまいち売れてないようです。

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