まずは透析でよく聞くクリアランスについてのおさらい

クリアランスとは単位時間あたりに除去できる物質量を単位を揃えて表示したもので、単純に老廃物を排泄する指標となります。

透析膜のカタログに必ず記載されています。

ダイアライザーのカタログでは一般的に透析で除去の対象とする尿素、クレアチニンなどが記載されている事がほとんどです。

単位はml/minで表示され一分間に○○mlの血液中の除去対象物質をゼロにできるというのがダイアライザーでいうクリアランスとなります。

 たとえばですが、ダイアライザーのNF-1.0Hでの尿素クリアランスは178ml/minと記載されています。

血液流量を200ml/minで回し、透析液流量を500ml/minで施行した時にNF-1.0Hでは一分間に200mlの血液中のうち178mlの血液の尿素をゼロにできる性能があるというわけです。

 

 

クリアランスがなんとなくわかったところで、CHDFのクリアランスに戻ります。

透析室で行われる血液透析とは浄化量や血液流量など異なるCHDFですが、今回はCHDFの効率について考えてみます。

日本でのCHDFの一般的な設定は血液流量が80-120ml/min 透析流量が5-7ml/min 濾過流量が5-7ml/min程度です。

 CHDFの浄化量は透析液流量と濾過流量を合わせた10-17ml/min程度になります。

 一般的な透析での透析液流量は500ml/min程度ですので、それと比べると単純にCHDFの浄化量は一般的な透析の50分の1以下となります。

本当にそうなのでしょうか?

じつはこの考え方は間違いです。

 

CHDFや透析のクリアランスは、濾過と透析流量を合わせた浄化量と血液流量との2つのうち値が小さい方に引きづられます。

 

 

冒頭でも述べたクリアランスですが、QB200ml/minQD500ml/minの一般的な血液透析だとクリアランスは値として小さなQB200ml/minの値を超える事はありません。

 

 

CHDFでも同様で、QB100ml/min 透析流量+濾過流量が10ml/minであれば、小さなほうの値である10ml/minにクリアランスはひきづられます。

 

ですから血液透析とCHDFの効率差(クリアランス差)は単純な比で10/20020分の1以下のクリアランスになります。

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この事から、血液透析のように効率を上げる為に血液流量をあげるという行為はCHDFにとってはまったく意味がない事がわかります。

 

 CHDFでは効率を良くしようとするのであれば血液流量を上げるのではなく、透析流量や濾過流量を上げなければ全く意味がないという事になります。

 

CHDFの除去効率の限界について

CHDFで効率を良くしようとするのであれば血液流量を上げるのではなく、透析流量や濾過流量を上げなければ全く意味がないという事は上記で述べました。

それでは透析流量や濾過流量の限界は、どれくらい上げる事ができるのでしょうか?

物理的にはCHDF機器の設定上限値までは上げる事ができますが、透析液の使用量が血液流量の倍以上流したところからは、クリアランス的にあまり意味がないと言う事が実はわかっています。

下図は透析流量と血液流量とクリアランスのグラフです↓。

横軸が透析流量で縦軸がクリアランスになります。

それぞれの血液流量での透析流量におけるクリアランスを表しています。

透析での血液流量は200mlから300ml/minを選択されます。

QB200とQB300に注目すると、透析流量が500ml/min以降のクリアランスは頭打ちとなり上昇しないのです。

これは血液流量に対して倍以上の透析液流量からは流量を上げても意味がない事を示しています。

 

この事からCHDFでも、仮に血液流量を80ml/minとするのであれば透析液流量は160ml/minまでは除去効率の面で効果が期待できる(人体の生存率などとは異なり、単純にクリアランスに対してという意)と言う事になります。

160ml/minといえば1時間で10L程度透析液を使用する事になります。

CHDFでは非現実的ですし、市販されているCHDF機器での透析液流量も100ml/min、濾過流量も50ml/min程度でしか設定できません。

さらには、CHDFの目的である緩徐に血液浄化を行い循環動態の変動を最小にするという点においても本末転倒な設定です。

 

高効率CHDFについて

CHDFの効率の限界について述べましたが、今度は設定限界まではいかないけれども通常のCHDFの設定よりも高効率の血液浄化を行う高効率CHDFについて考えてみます。

いまから20年ほど前から高効率CHDFはHigh-FlowHigh-VolumeCHDFなどと言われ、世界でその浄化量が論じられてきました。

世界では、火傷や重症敗血症などの高サイトカイン状態となるシビアな症例に、通常の浄化量群25ml/kg/h程度 高効率群40ml/kg/h以上 さらに高効率群80ml/kg/hと大まかに分け効果があるのか?という論文やRCTがいくつかでました。

最近では35ml/kg/h程度以上に浄化量を上げても”予後は変わりませんよ”という見解に収束しています。

 

日本でのCRRTはCHDFが選択される事がほとんどですが、世界ではCHFがほぼ8割で日本での急性血液浄化はじつは世界ではイレギュラーなんです。

ですので、世界と日本のCRRTは一概に比べる事はできませんが同じヒューマンとしては予後や反応は近似したものになるはずです。

世界でのCRRTの浄化量として一般的に言われている量は20ml/kg/h(中央値)です。じつは世界ではもっと多く浄化しているところもあります。

 

 

日本での浄化量は時間あたりの濾過で300ml/h程度ですので、60kgの成人男性でいうと浄化量は5ml/kg/hになります。

透析液流量を加えたとして10ml/kg/h程度なんです。

 

なんと低い浄化量!!!

世界では35ml/kg/h以上の浄化量を増やしても”予後は改善しない”という見方が今は一般的ですが、日本ではその標準的な浄化量の4から5分の一が中央値になっているのです。

日本での急性血液浄化のRCTなどはあまり、っというか全然ないので予後や効果について日本の浄化量中央値である5ー10ml/min/h VS 35ml/kg/h程度の論文がでれば良いですね。

 

話はもどりますが、

日本のあまりに貧弱な浄化量を、高サイトカインとなるような病態の時に世界レベルの25〜35ml/kg/hまで上昇させる事を高効率CHDFというのです。

 

60kgの成人男性で考えると、例えば30ml/kg/hだと1800ml/minなので、QDを10〜30ml/min、濾過流量を5〜20ml/minにするのが現実的です。

 

効果のほうは賛否両論あります。今後の研究に期待しましょう。

pubmedなどで、”CRRT” ”dose” ”HighVolume” などで検索すると世界の高効率CRRTについての論文を検索できますのでぜひ!!

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