病院で役に立つ映像規格と接続方式

病院では内視鏡や外科手術、さらに手術の映像を記録する手術動画などさまざまなシュチュエーションで動画が記録されたり、モニタに映し出されます。

 

手術映像は記録されるだけでなく内視鏡手術時ではそのものを閲覧しながら、手術するので映像の解像度や写り方はとても重要視されています。

 

今回はそういった医療で利用される映像に関する映像規格とその接続方法について簡単にまとめます。

 

まずは解像度のおさらい

コンピュータの普及やデジタルTV放送がはじまった日本では”解像度”といった言葉を聞く事はよくある事だと思います。

画面解像度を簡単に言うと、画面の細かさを数字にて表現したものと言えます。

どの家庭でもテレビはあると思いますが、地上デジタル放送で送信されている信号の解像度は1440×1080iという解像度になります。

その他の規格における解像度はこちら

SD:standard definition television   720×480

HD: High definifion video  1280×720

Full HD : 1920×1080

4K:4096×1080  or  3840×2160

8K :  7680×4320

 

ちなみに

DVDは720×480

Blurayは1920×1080

BSデジタルは1920×1080

地デジは1440×1080

解像度は値が大きくなればなるほど密度が高くなってモニタが対応していれば高精細な画像を映し出してくれるのです。

まぁ大きければ綺麗という認識でいいと思いますがそうでない時もあります。

また、解像度は数値が高いほど良いのですが、最後の720iとか720Pとかアルファベットが記述されています。

これはiがインターレースといい、Pはプログレッシブといいます。

簡単にいうとPのほうが動画的には綺麗で良いと言う事ですが、詳しくはこちらで解説されています。

 

医療で使われる映像規格

デジタル編

SD-SDI

 SDIとはシリアルデジタルインタフェース (SDI; Serial Digital Interface)といってSD-SDIの場合はアナログビデオ信号をデジタルに変換して、デジタル信号を伝送する規格になります。

なんと音声と映像を一本の同軸ケーブルで送る事ができます。

もともとは映像業界が利用していました。

 SD-SDIはアナログ信号をそのままデジタルに直して送っているだけなので、あんまりアナログと変わりません。

規格は元の映像の信号によって2種あり、下記の通りです。

  • D2-SDI:NTSCとPALに対応する。アナログではコンポジットに準ずる。
  • D1-SDI : 525iと625iに対応する。アナログではコンポーネントに準ずる。

まぁ下記アナログ編で出てくるコンポジット、コンポーネント接続の画質以上の出力は出ないとと言う事です。

 

接続端子にはBNCを用いるのがほとんどです。

 

 

HD-SDI

SD-SDIと上位規格で、改造度はなんと1125iと750iに対応しています。

簡単に説明するとHD画質である1280×720以下の解像度のデジタル出力ができます。

もちろん1本で伝送できます。

この規格が最も医療施設では使われているのではないでしょうか?

 

実は、内視鏡システムでも4Kカメラ以外ではハイビジョン出力CCDしか製品自体ないのが現状なのはみなさまご存知でしょうか?

現時点(2017年)で世間は4kや8Kなど騒いでいますが、内視鏡、腹腔鏡、眼科、耳鼻科領域のカメラシステムではFullHD(フルハイビジョン)ですらなくハイビジョンが主力なのです。じつはね・・・

 

3G-SDI

HD-SDIのさらに上位規格です。ほかにも6G-SDIや12G-SDIなどが存在します。数字が増えると伝送速度が上がる事を意味しています。

これらSDI規格は高周波のデジタル信号を扱うので同軸ケーブルを利用しています。

これらのSDIケーブルですが、買うと数メートルで数万円かかりますが、自作すると1/100程度のコストで作れてしまいます。

75Ωの5C-FVなどの同軸ケーブルと秋月などでBNC端子を買うだけで、簡単に作れます。

 

 

 

HDMI

最近のレコーダーやパソコンのモニタ、ビデオカメラに到るまでHDMIという規格がとても増えてきまいた。

 

HDMIとはHigh-Definition Multimedia Interface(高精細度マルチメディアインターフェース)の略でHDMIは非圧縮デジタル形式の音声と映像を伝達し音質、画質とも理論上は伝送中に劣化することはないと言われています。

 医療機器ではHDMIの入出力を搭載したシステムは希です。

 なぜかというと市販品(医療用モニタではなく、安価な市販品)の4K対応のモニタなどの入出力はほとんどすべてHDMIを採用されており、そういったモニタを医療現場で代替されないように内視鏡システムなどのモニタ出力にHDMIを搭載していないというのが一般的です。

 

DVI

DVIとはDigital Visual Interface(デジタル ビジュアル インターフェース)の略で、HDMI同様に無圧縮のデジタルビデオデータを送るように設計されています。

パソコンのモニタ出力で有名です。

結構たくさんのコネクタ形状があります。

そもそもHDMIはDVI規格を元に作られているので、相互に変換できるという特徴があります。

 

 

アナログ編

VGA

 VGAとは古くからパソコンのモニタ出力に利用されており、知っている人も多いでしょう。

正式名称をアナログRGBコンポーネント映像信号といいます。

あまり知られていませんが・・

アナログっていっても解像度が低いわけではなく最大で2040×1280の解像度に対応します。

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ほとんどの人はアナログ画質よりデジタルの方が綺麗と思い込んでいますが、デジタル業界ではアナログの方がデータ量は無限大であり、遥かに画質は上です。(ようは私たちが見ているものアナログなのです)

ただ、アナログで音や画像を出力した場合、昔ながらの規格が貧弱だったので”画質や音質が悪い”とイメージがついたのでしょう。

今でも、いやむしろ昔から医療カメラや望遠鏡や軍事衛星など映像を扱う場合、高精度レンズで集光した映像(アナログ信号)をデジタル信号に直しているだけです。

そもそも自然界に存在するものをデジタル機器に扱えるようにしたのがデジタル信号なのです。

 

この規格が長らく医療業界に鎮座する理由はそこにあります。

内視鏡のモニタは17inchから大きくても25inch程度なので、HD画質程度ならこの接続で事足りますよね。

上記のような端子がパソコンでもおなじみですが、医療業界でもよく使われています。

とくに内視鏡でのモニタ出力では数年前までは写真のようなD-SUB15ピン(VGAの接続規格)からBNCコネクタに分けてモニタに出力するという接続方法をよくとっていました。

BNCコネクタでR(赤)G(緑)B(青)に分けられてモニタに出力されます。

ちなみに黒は水平同期、白は垂直同期のケーブルになります。

 ここでいうBNCコネクタとは医療業界や映像業界ではよく利用される接続方法で、同軸ケーブルを接続でき比較的周波数特性が良いので通信、計測、映像信号に利用されるコネクタです。

秋月電子やアマゾンでも端子単体が売られています。

 

 

 

コンポーネント接続

こちらもよくある接続方式です。

じつは上記のVGA規格もコンポーネント規格なのだが、RGB信号(光の3原色)を直接使うのがVGAでRGBから輝度信号(Y)、色差信号(Pb or Cb、Pr or Cr)に変換した輝度-色差を用いるのが一般的にいわれるコンポーネント接続なんです。

医療期間での利用頻度は???ですが、どのメーカーの機器でもRGB(VGA)接続と同様に標準で入出力が可能である場合が多いです。

解像度は最大でFull HDまでいけます。でもやはりVGAのほうが全ての色成分で最高画質です。

良い事はアナログVGAくらべてコンポーネントは情報量が1/2、2/3の処理量でよいという利点があります。

 

D端子

D端子接続とは日本独自の規格で、コンポーネントの3本端子を一本にまとめた規格です。

D端子は実はデジタルではなくコンポーネントを利用しているので、アナログです。

D1からD5まであります。

個人的には好きな規格ですが、日本独自の規格ですし、1本にまとめるのでどうしても構造上ノイズやシールドが維持できないなどの理由からか、爆発的な普及にはいたりませんでした。

 

 

コンポジット接続

このコンポジットという接続方法は映像機器を構成する同期信号、輝度信号、カラーの場合は色信号、を合成して、1本のケーブルで扱えるようにした信号の事になります。

 

とても有名な規格なので、見たことのある人も多いと思います。

一本で伝送できるので簡単です。

ただ画質は悪いです。

写真はコンポジットのRCA端子といい昔のVHSビデオやDVDプレイヤーをテレビに接続する際に活躍する接続端子です。

機器の裏側からモニタ出力があると思いますが、どのメーカーもRCA端子接続を採用している所は少なく、ほとんどが接続端子にはBNC接続を用いています。

だからコンポジットやSDIを見分けがつかず難しく感じてしまうのです。

見分けかたはコンポーネント出力場合、”Video出力”と書かれている事がほとんどです。

 

医療現場では、民生機レコーダーを利用してDVDやハードディスクに映像を溜め込む時に利用するという施設が多いと思います。

 

S端子接続

上記で説明したコンポジット映像信号を輝度信号(同期信号も重畳)と色信号の2系統に分離 して伝送する方式です。

S端子のSはセパレートのSです。

やはり信号はまとめて送ると、信号の処理や分離で画質が落ちるので、はじめから分けておくる方が画質がよくなります。

こちらの規格はコンポジットよりやや画質が良いもしくは劣化が少ないと言うレベルです。

医療ではこちらも、DVDなどに記録用として用いられる事が多いです。

 

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