世界一やさしい透析効率KT/Vの考え方

KT/V(ケーティーオバーブイ)はよく透析効率の指標として用いられており、書籍やサイトなどでもよく紹介されている項目になります。

しかし、数式の詳しい説明をしているサイトはかなり少ないので私が代わりに稚拙極まりないですが解説しようと思います。

理解には高校でならう微分・積分の知識があれば容易に理解できると思います。

微積ももう忘れたよってかたはうす目をあけてなんとなく読んでいただけたら、なんとなくKT/Vの事がわかると思います。

 

KT/V(ケーティオーバーブイ)とは?

KT/VとはKは透析でのクリアランスで、Tが時間、Vが体液量となり、透析量が足りているか?の一つの指標になります。

 体液量VでクリアランスのKと透析時間のTを割っているので、1度の透析で体の体液量を何回分きれいにしたかを端的に表しています。

 

KT/Vの単位について

クリアランス:Kの単位は ml/minです。

時間:Tの単位はクリアランスでmin(分)が出ているので合わせてmin(分)にします。

体液量:Vの単位はクリアランスでmlがでているのでそれに合わせてml(ミリリットルとします)

じつは最も簡単なKT/Vは掛け算と割り算で計算できます。

もちろん単位を合わせないと計算できません。

たとえばダイアライザーのBUNクリアランスが血流を200ml/minで回した時に190ml/minという値、透析が4時間、体重が仮に60kgだとしますね。

K:190ml/min 

T:240min

V:体液量なので体重の60%とすると60×0.6=36000mlです。

K×T/Vなので 190×240/36000 = 1.2666・・・

 

おっなんかソレっぽい値になっています。

しかし、これはダイアライザーのカタログデータから計算した簡易も簡易な計算方法です。

透析患者さんでは毒素の濃度の違いやシャントの状態によって血流量や毒素の抜け方の違いなどがあるはずです。

 

なので検査データから効率をしらべて体液量で割る事で指標を定める事が重要となったわけです。

 

簡単なKT/Vの考え方と計算方法

カタログからKT/Vを計算せずに検査データから計算するにはどうしたらよいのでしょうか?

それには中学校か小学校でならった理科にヒントがあります。

その名もそう”質量保存の法則”です。

透析患者さんの体に溜まった毒素は突然消えたりしません。

体に溜まった毒素は透析で除去する毒素と透析で取りきれなかった毒素とイコールで繋がるはずです。

この保存則の各項目を計算式に置き換えて見ることにします。

まず透析で除去する分がいちばんややこしいので少し説明しておきます。

図のとおりなのですが、透析で抜ける毒素の総量は斜線の部分になります。

除去スピードはやはり毒素濃度の高い最初は早くて透析終了近くは遅くなると思います。

だから毒素の抜ける総量を計算式でもって計算するには積算を計算できる”積分”を行えばいいのです。

 

次に全ての毒素の計算ですが、これは簡単です。

だって最初の毒素データ濃度に体液量をかければ全ての毒素量がでるはずです。

 

次は体に残った毒素の計算です。

こちらも簡単で、最後の毒素濃度に体液量をかけると表されます。

 

 

すべての計算式ができたので、これをドッキングします。

上図のとおりです、これで質量保存則の完成です。

ここからこの式を変形していきます。

 

 

 

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するとなんかKT/Vに似てきました。

 

さらに変形していきます。

ここが一番難しいところ、高校数学で習うay+dy/dx=0です。この解は下図のようになります。

ここでeがでてきました。これは自然指数といってexpと書き換える事もできます。

このeですがネイピア数といって2.713・・という数字になります。

オイラーさんが定義したのですが、

この数字を使った対数や指数の関数はあらゆる物理法則、自然界の現象を表す事ができるんです

だから透析時の物質移動、要は毒素の抜け具合を表す事も容易ということです。

 

 

 

さてっ本題にもどります。

 

さらに

変形して見やすくしていきます。

 

最終的に見た事あるような数式になりました。

どうでしょうか?KT/Vの基本的な形になりました。

KT/V = Ln(preBUN/postBUN)で表せる理由やなぜ自然対数が用いられているのかがなんとなくわかれば大成果です。

 

現在用いられているKT/Vについて

KT/Vについてなんとなくわかったら、今現在使われているKT/Vについてもおさらいしておきます。

現在使われている式はKT/V = Ln(preBUN/postBUN)は用いられていません。

これはなぜかというと除水量や体液量や透析時間による補正(リバウンドなど)が計算に入っていないからです。

ですから、KT/V = Ln(preBUN/postBUN)だけでは少し値が高くでるはずです。

現在はそういった補正ができる式が考案されており、施設によってどの計算式を採用するかが変わってきます。

そのなかでも有名なものにDaugirdas(ダーガダスとかダーギャダスさんと読む)の式や新里式などがあります。

私の場合は簡単なので下記の式を使用しています。
Kt/Vsp=-ln(除去率-0.008×透析時間)+4-3.5×除去率)×除水量÷体重

自然対数は関数電卓などで計算できますが、パソコンを用いたエクセルなどで計算するのが一般的です。
旭化成では値を入力するだけで計算するサイトを運営しています。

ここです

 

 

重要な事ですが、どの式を使ってもよいですがその値を継時的に見る事が重要となります。

 

 

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